ネットショップ(ECサイト)で、約7割もの人が「かご落ち」しているのをご存知でしょうか。
かご落ちしている理由のひとつに「送料の壁」が存在しています。
そのため、ネットショップで売上を出す際「送料の決め方(設定)」はとても重要です。
今回は、初心者の方向けにネットショップを運営していく上で重要な「送料の設定パターン」や「送料の決め方」などを解説しています。
送料が高いと、かご落ちの原因に
まず初めにお話したいのが「かご落ち」についてです。
かご落ちというのは、お客様が商品を購入しようと思い、カートに入れたにも関わらず、購入に至らなかったことを言います。
7割以上の人が「かご落ち」を経験している
マーケティング・リサーチ・キャンプの「Eコマース&アプリコマース月次定点調査(2018年1月度)」によると、「カートに入れても購入しなかったことがある」に対して73.8%もの人がいることが発表されています。
出典:キャンプの「Eコマース&アプリコマース月次定点調査(2018年1月度)
このことから、7割以上の人が「かご落ち」をしていることになります。
かなり高い割合ですよね。
送料や手数料を気にしている人は多い
続いて、以下は「かご落ちした理由」を示す棒グラフの図です。
出典:キャンプの「Eコマース&アプリコマース月次定点調査(2018年1月度)
見ていただくとおわかりのように、返品ルールやセキュリティなどに比べて「送料や手数料などが高い」を気にされている人が多い傾向にあります。
このことから、送料の価格設定はお客様に購入していただく上で、非常に重要であり、売上に大きく関係してくる部分といえます。
以降では、送料を設定する際の主なパターン、送料の決め方・考え方などについてお話していきたいと思います。
ネットショップ・送料設定の主なパターン
ネットショップでの送料設定パターンには、様々なものが存在します。
主なパターンは以下の通りです。
- 一定額以上の購入で送料無料
- 全国一律料金
- 配送先ごとの送料設定
- 発送手段ごとの送料設定
- 全国どこでも送料無料
ひとつずつ見ていきたいと思います。
一定額以上の購入で送料無料
「6,000円以上の注文で送料無料」など、一定額以上の購入で送料が無料になるパターンです。
ネットショップでよく見かけますよね。
私がお手伝いしているクライアントにも多いですが、このパターンの良いところは、一定額に達していないお客様が送料無料の条件を満たすために「ショップ内を巡回し、一緒に別の商品の購入も検討してくれる」場合があります。
そのため、ネットショップ内でも「ついで買いができるような作りや見せ方にしておく」と、お客様一人あたりの購入単価を上げられるというメリットもあります。
全国一律料金
「送料:全国一律700円」など、全国どこでも一律の送料になるパターンです。
このパターンの良いところは、購入者側・お店側どちらにとっても迷いが少なくわかりやすい点です。
注意点としては、送料を低く設定すると損してしまう可能性があるため、配送料の全国平均などを考慮し総合的に見て決める必要があります。
配送先ごとの送料設定
例えば、以下のような形で配送地域ごとに送料を設定しているパターンです。
- 関東(600円)
- 関西(700円)
- 北九州(700円)
- 沖縄、北海道(900円)
など。
通常、配送業者に配送(宅急便やゆうパック等)をお願いする場合も「発地から着地で料金は変わってくる」ため、上記のように距離に応じて送料を決めることは、適正な金額を指定しやすいと言えます。
しかし、遠方(沖縄や北海道など)のお客様にとっては、送料が高くなってしまうため、お店側で一部負担するなどの施策が必要です。
配送手段ごとの送料設定
商品をお客様に届ける際、様々な配送手段(方法)があります。
例えば、以下のような配送方法です。
- メール便(250円)
- 宅急便(930円)
など。
配送方法によっては、送料を抑えることができるため、お客様はもちろんのことお店側も購入されやすいというメリットがあります。
ただし、メール便などは補償等がほぼ無いため、その旨をしっかり掲載しておく等の注意が必要です。
配送方法の種類や特徴については、以下のページで詳しく解説しています。
全国どこでも送料無料
「全国どこでも送料無料」に設定しているパターンです。
こちらは説明するまでもないかもしれませんが「お客様に購入されやすい」「わかりやすい」というメリットがあります。
一方で、デメリットとしてはお店側の負担が大きくなる可能性があります。
そのため取り入れる際は、初めて購入してくれるお客様に対して「初回注文のみ送料無料」など、ある条件のもと設定する方法もアリだと思います。
ネットショップ・送料の決め方、考え方
ここまで「送料設定の主なパターン」をいくつかご紹介してきましたが、実際にネットショップを運営する上で送料を決める際のポイントは、以下の通りです。
- かご落ちを避けるため、送料をできるだけ安く設定する
- 複雑な送料設定は、購入者を迷わせてしまうため、できる限りわかりやすくする
冒頭でもお話した通り、ネットショップで商品を購入するお客様は、7割以上の人がカゴ落ちを経験しています。
そして、カゴ落ちの理由の多くが「送料や手数料が高かったため」という点です。
カゴに商品を入れるということは、「その商品を購入したい」あるいは「気になるから検討したい」という、お客様が購入に対して前向き気持ちなわけです。
そこでいざ購入しようと思ったら「送料が高いからやめよう…」となってしまうと、購入されないだけでなく、ネットショップ自体の印象も悪くなり、今後お店に訪れてくれない可能性もあります。
送料に関する情報はわかりやすく案内しておく
また、複雑な送料設定も購入者を迷わせてしまったり、ストレス感じさせてしまう可能性があるため、可能な限りわかりやすい送料設定をおこなえるとベストです。
商品ページや共通エリアなどに、送料に関する表記をしっかり案内しておくことも大切です。
以降では、上記を踏まえ、送料を決める際におすすめの方法をいくつかご紹介します。
送料を決める際におすすめの方法をピックアップ
その1:一定額以上の購入で送料無料
「送料をできるだけ安くしたいけど、売上も担保したい」という場合は、一定額以上の購入で送料無料という形で案内するパターンです。
一定額に達していないお客様が送料無料の条件を満たすために「ショップ内を巡回し、一緒に別の商品の購入も検討してくれる」場合があります。
そのため、お客様一人あたりの購入単価を上げられるというメリットがあります。
その2:商品価格に送料を上乗せする
どうしても送料が高くなってしまい設定に決めかねる場合は、商品価格に一部送料を上乗せするパターンもあります。
例えば、商品価格が1,400円のものに対して、送料が700円かかる場合、お客様はどう思われるでしょうか。
「1,400円という安い商品に対して、700円の送料はちょっと高いな…」
というような心理が働く可能性があります。
結果、お客様は損した気持ちになり、購入までに至らないかもしれません。
一方で、商品価格に350円を上乗せし、「商品価格が1750円、送料が350円」ならどうでしょう。
この場合でもお客様が支払う総額は同じですが、送料が安いため、購入されやすくなる傾向にあります。
その3:送料を全額負担してもらう場合
お客様側に送料を全額負担してもらう場合、そのお店にしか売っていない商品だったり、送料を払ってでも買いたくなるような付加価値が必要です。
この場合、お店や商品の知名度などもある程度必要なため、ネットショップを開店したばかりだと取り入れにくい方法かもしれません。
ネットショップの送料を安く抑えるポイント
送料(配送料)を安くするポイントは、主に以下の通りです。
- 商品のサイズを考慮して適切な配送方法を選ぶ
- 配送業者に割引交渉をする
配送業者との割引交渉については、取引数量や実績などが関係してくるため、初めのうちは正直難しいかと思われます。(交渉するタイミング等によっても異なる)
商品サイズに適した配送方法を選ぶ
商品が小さいサイズで軽いものであれば、メール便を使用することで、送料コストを大幅にカットすることができます。
また、メール便の特徴として、全国一律の料金で配送が可能だったり、ポスト投函なので不在でも受け取れる、というメリットもあります。
しかし、時間指定ができない、補償等がほぼ無いなどのデメリットもあるため、しっかりと把握した上で取り入れる必要があります。
配送方法の種類や特徴、配送を安くするためのコツなどについては、以下のページでもお話していますので、ご一読ください。
まとめ
初めに、送料が高いとカゴ落ちの原因になりやすい、というお話から始まり、送料設定のパターンや決め方、安くするポイント、の流れで解説してきました。
そして送料の決め方のセクションでもお話した通り、
- かご落ちを避けるため、送料をできるだけ安く設定する
- 複雑な送料設定は、購入者を迷わせてしまうため、できる限りわかりやすくする
という点を考慮し、運営ショップに応じて送料の設定を適宜おこなって頂ければ思います。
また、送料の関係で単品商品が売りづらくなるケースもあるかもしれません。
そんな時は、セット商品を考えたり、お試し商品を企画しリピーター向けに送料無料の商品を案内するなど、工夫をこらすことで商品を売りやすくなります。
運営されているネットショップに合った独自の方法を生み出して、送料に左右されないようなお店作りを行っていきましょう。